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村長のあいさつ

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施政方針

  平成20年第1回三宅村議会定例会の開会に当たり、村政の施政方針を申し述べ、議員の皆さまならびに 村民の皆さまのご理解、ご協力を得たいと思います。
 まず、私は去る2月10日に投・開票が行われました三宅村長選挙で再選されたことを身に余る光栄と存じ ており、選挙遊説中は村民の願い・想いを十分に肌で感じた戦いでもありました。故郷三宅島に帰島して から3年がすぎました。そのため、私は立候補のごあいさつとして、『復旧から復興へスイッチ』をスロー ガンといたしました。
 しかし、三宅島には解決しなければならない課題が山積しています。三宅島の新たな再生のために、過去 4年間で培った国・都とのパイプを一層大事にしながら、村民の皆さまの想いと願いを届け、施策の実現を図っていく決意です。
 同じく実施された『三宅村議会議員選挙』に当選されました10名の議員の皆さまに心よりお祝いを申し上 げ、議員諸氏におかれましても数々の公約を掲げられましたが、この公約実現に向けて、これからの4年間 を『活力ある島』『復活の島づくり』に全力で取り組まれることをお願いします。また、若者たちに明る い未来を引き継ぎ、希望溢れる三宅島づくりのため、引いては『村民の幸せのため』の議論をしてまいりた いと思います。 さて、国の平成20年度予算は一般会計総額を83兆613億円とする原案を決定しましたが、新規の国債発行額 を4年連続の減額とし、財政再建の継続をアピールしながらも、一方で、総選挙への意識からか、地方向け歳出の拡大などに見られる ように改革の停滞とも思える予算案となりました。
 地方対策の一環として、地方交付税の交付額を増額したほか、政策経費に充てる一般歳出も社会保障費の自然増などにより膨らんだ ものとなっており、結果、財政の健全度を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)は赤字で、5年ぶ りに悪化し、国民1人当たり433万円の借金を抱える、先行き不安な予算となっています。
 他方、三宅村に直接影響のある都の新年度予算は、一般会計6兆8千560億円と『攻めと備え』の両にらみ の積極型ではあるものの、国や他の地方団体からの「東京都1人勝ち」との反発を意識した予算編成とな り、東京の豊かさを裏付けるように税収は引き続き堅調な伸びを見せる中、大都市需要の大きさも強調し、 東京富裕論をけん制する形ともなりました。
 その中で多摩・島しょに係る予算内示状況では、町村会等による尽力により市町村総合交付金、福祉保健 区市町村包括補助事業、市町村土木補助事業等は当初査定案から大きく復活しました。また、本村関連では 『三宅島における観光を中心とした復興支援施策の拡充』として、三宅島災害被災者帰島生活再建支援の延 長による災害援護資金貸付等、農地、林道、造林地、漁業基盤、空港整備等の充実強化のための予算が内示 されています。
 帰島してから3年がすぎ、三宅村においては国・都のご支援をいただきながら、これまでにインフラ整 備、公共施設の復旧、高濃度地区対策、産業復興などの各施策に全力で取り組み、村民の生活も一定の落 ち着きを取り戻しつつありますが、残された課題は多く、今後の村の財政需要を見据えると、自主財源の基 礎となる村税の確保は最重要課題です。また、普通交付税は、算定基礎である国勢調査人口の減少に伴う大 幅な減が見込まれる中、公債費比率の割合も高く、さらには災害復興のための特別の財源措置も終息を迎え るなど、今後の村財政の状況は大変厳しいものとなっていくことが予測されております。  昨年の10月に策定した『三宅村公債費負担適正化計画』によれば、平成18年度決算における地方債残高 が31億7千万円で、住民一人あたりでは112万円となり、償還金額が5億7千800万円、住民一人あたり 20万円の計算となります。人口の減少に伴う、村税、交付税等の一般財源の減少も予測されるため、公債費の額 そのものは減少に向かうものの、その負担割合は減少とはなりません。このため、財政再建団体への転落 を防ぐためには、一般歳出の各経費を抑制してでも地方債の元利償還財源の確保が急務となります。  とはいえ、村民生活を守るための財源の確保は行政の使命であり、今後も行政と議会共々、国・都に財政 支援を強くお願いしたいと考えております。それにより、三宅村の今後の施策の柱となる第4次三宅村総合 計画の後期5カ年を確実に進めてまいります。本年は、計画の2年目に当たりますが、本計画に掲げる三 宅島の将来像『人と自然にやさしい健康で豊かな村』『感謝の言葉が言える島』の実現に向け各施策を展開 します。 さらには、こうした厳しい財政状況にあっても、職員の知恵と工夫による『プラスワン事業』の発掘を引 き続き進め、施策効果の高い事業を実施します。
 平成20年度の主な施策について申し述べます。
 本年度予算では、施策の体系を四つに大くくりしました。
主要施策、重要施策、プラスワン事業、三宅村緊急復興事業の4分類ですが、順次申し述べます。
 

     

◇主要施策《人と自然にやさしい健康で豊かな村》

まず、本年度の主要施策を展開するにあたっての三つの基本的な考え方について申し上げます。
 第1は「生活再建」
 本村は、65歳以上のお年寄りが約3割を占める「高齢社会」であり、今後もこの傾向は続くと考えられま す。それらのお年寄りの生活再建を支えていくため、これまで以上に保健や福祉・医療の充実を目指し、 家庭・地域社会などを支援する施策を拡充します。村民の生活再建には村民の自助努力が必要ですが、もちろん、それだけでは十分だ と言い難いため、行政としての支援体制の強化に取り組んでまいります。
 第2に「地域振興」
 噴火災害により、一時、完全にストップした三宅島の経済産業活動を確実に回復させ、さらなる活性化を 図っていくことが必要であります。  三宅島の大部分の産業は、何らかの形で観光と関連をもっています。このため産業振興の基軸を「観光 産業」に据えて、各関連産業がそれに誘発された形での振興につなげていくことにより、より効果的な発展 を期待することができます。本年度は、このようなスキーム作りに取り組んでまいります。
 第3は「防災島づくり」
 災害に強く、健康で豊かなくらしを支える社会基盤を一層整備するための施策を進めてまいります。  本村は噴火・火山ガス・台風等いろいろな災害を受ける島であり、そのような環境にもかかわらず、 島の交通の基幹である定期船の出入港は現在2カ所しかなく、低気圧の通過による波浪の影響などでの欠航 も少なくありません。災害時には、村民と観光客が安全に遅滞なく、避難することや、緊急貨物が円滑に輸 送できる体制の整備が必要であります。そのためには第3避難港(伊ケ谷港)、空港、ヘリポートをいつで も確実に利用できるようにしていくとともに、それらの施設への道路アクセスを早急に整備していくことが 必要であります。
 以上、述べました基本的な考え方を踏まえて、本年度は次のような主要施策を推進してまいります。

主要施策1 『生活再建』

  第1に高齢者福祉計画は、高齢者保健福祉計画・障害者計画・次世代育成計画・地域福祉計画を包括し た総合計画に、介護保険をプラスした見直しを進めてまいります。
 第2に循環型社会形成推進事業は、昨年度に引き続き島内におけるし尿・浄化槽汚泥を適正に処理するた めの施設整備に必要な調査を進めてまいります。
 第3に中小企業利子補給は、引き続き被災者に事業再開資金に係る融資についてその利子を補給すること により事業者の負担軽減を図ります。
 第4に放課後児童健全育成事業は、保護者が昼間仕事でいない家庭を支援するとともに、居住地域が分散 して児童が共に遊ぶことが困難な状況があるため、放課後、児童に適切な遊び場を与えることにより、その 健全育成を進めてまいります。その他、昨年と同様に、人口増加による活性化のための出産祝金の支給、 みやけキッズパス事業、義務教育就学期にあたる児童に対しての医療費助成等の施策を進めてまいります。  

主要施策2 『地域振興』

  第1に村有地植栽事業ですが、火山ガスの影響により、現在、島内の山林は立ち枯れが多く、これまでほ とんど手付かずの状況にあり、本年度から村有地を中心に植栽を行い、緑化を進めます。
 第2に新・地域活力増進事業は、各経済団体が相互に連携、一体化した三宅島特産品推進協議会を設立し ますが、これを支援し、三宅島の産業復興と振興を着実に進めてまいります。
 第3に三宅島農産物PR活動事業は、農産物の生産量が増加傾向にある中、特産品であるアシタバ、レザ ーファンなどの販路と消費拡大に向けたPR活動を積極的に行ってまいります。
 第4に営農再開支援事業は、農家からの希望が多いパイプハウスへの補助、流通施設の整備を行うことで 噴火、火山ガス災害により壊滅的打撃を受けた農業の復旧を進めてまいります。
 第5に農業用水施設復旧事業は、19年度に作成した基本計画に基づき本年度にパイプライン・貯水槽測量・ 実施設計等を進めます。
 第6に新漁種調査開拓事業は、漁家経営・後継者問題が課題の中、従来の魚種 に加えて、新たな魚種を漁獲し、市場への流通の調査、漁家経営の向上を進めてまいります。
 第7に観光振興プランの推進、各種イベントの誘致については、まず、三宅島航空路線が8年ぶりに再開 されます。そこで再開記念式典を挙行しますが、本年が帰島3周年に当たることを記念して御製碑の除幕 式、三宅島郷土資料館の開館、『三宅島災害記録』の刊行式、三宅島特産品焼酎『雄山一』の復活披露をこ れに合わせて行います。  また、本年度は新たなイベント誘致として、三宅島磯釣り大会(TFC村長杯争奪・観光親善大使による =てっちゃん杯)、NPO法人による島内一周三宅島エコ・ライド、夏にはにぎやかさを求めてトローリン グ大会、第1回チャレンジ三宅島トライアスロン大会(国体種目)などを行ってまいります。また、昨年度 に引き続き、第2回のバイクフェスタの実施に向けて全力で取り組んでまいります。
 第8に観光案内板改修事業は、噴火災害で大きな被害を受けた島内の案内板等を観光客に分かりやすく親 切なものにしながらの修復整備を行います。
 第9に雄山火口遠視カメラ映像運用事業は、気象庁とタイアップして、活動中の火山の火口状況を観光客 等がリアルタイムで見ることができるという世界でも類を見ない映像システムを郷土資料館において提供し ます。
 第10に郷土資料館外構整備は、専用駐車場整備、弱者対策のための館内バリアフリー化を行います。  また、小金井市との友好都市盟約30周年を記念して小金井小次郎の特別展示会を開催し、友好のきずなを 一層強めてまいります。  さらに、平成4年7月に三宅村名誉村民の称号を贈呈した、日本芸術院会員平松譲画伯の功績を称え、館 内に常設展示室を設け、画伯の絵画を村民をはじめ、観光客等に鑑賞していただくようにいたします。
 第11に離島交流中学生野球大会事業は、島の未来を担う少年、少女たちが野球を通して幅広い“交流”を 図ることを目的に、平成20年度より「離島甲子園」に参加していただきます。友情をはぐくむとともに、夢 と希望と勇気を持つことの大切さを実感し、郷土を想う心と誇りを醸成することにより、島の活性化、人づ くりに大きく寄与するものと期待しております。  

主要施策3 『防災しまづくり』

 第1に気象庁三宅島火山防災連絡事務所の設置は、気象庁と三宅村とが協定を結び、三宅村役場臨時庁舎 内に火山防災連絡事務所を設置し、気象庁職員が駐在します。これにより三宅島の火山防災業務が、より効 果的に行われ、かつ、情報伝達の強化が図られるものと考えます。
 第2に島内交通網の整備事業は、災害時等に備えて伊豆海岸線の整備を引き続き進めるとともに草木線、 沖ケ平4号線、今崎線、伊ケ谷下原1号線の整備や、坪田地区内の排水整備を進めてまいります。
 第3に災害対策車両の整備は、災害時における迅速な対応のため、新たに車両を購入し、村民の安全と情 報伝達の強化を進めます。
 

     

重点施策

 次に、主要施策とは別立てで、私が本年度、特に力を入れて行う重点施策について申し上げます。

 重点施策の第1点目は、『高濃度地区対策』であります。
 第1に高濃度地区に係る総合的な調査を行い、地区住民の意向を把握した上で、今後の高濃度地区に対 する基本方針や具体的施策づくりを行ってまいります。また、いまだ帰島していない世帯についての帰島 意思や時期等、「三宅島災害被災者帰島生活再建支援金」対象者の意向調査を行います。  第2にこれまで実施してきた高濃度地区劣化保全対策事業、高濃度地区被災家屋解体撤去事業、高濃度地 区危険樹木伐採事業、高濃度地区夜間巡回業務も引き続き実施します。  第3に阿古高濃度地区の一時滞在事業に伴う支援策を実施するとともに、坪田高濃度地区の一時滞在事業 の実施についても積極的に取り組んでまいります。
 重点施策の第2点目は、『交通アクセス』対策であります。
 第1に三宅島航空路線の再開に伴う火山ガス対策として、三宅島空港を利用する観光客等のための各種ガ スマスク(高感受性者用・子供用・乳幼児用)を購入、配備します。希望者に対して貸し出しを行い、観 光客等の火山ガスに対する安全・安心対策を進めてまいります。
 第2に定期船の就航率向上のための伊ケ谷港整備の一環として、都道からの歩道整備、船客待合所の確保 と整備、臨時駐車場の整備等を進めます。
 第3に場外離発着場待合所整備事業では、村営の伊豆へリポートの待合所の損傷が著しいため台風、強 風、大雨等が発生した場合や夜間救急搬送時の利用者の安全を確保するために必要な施設整備を行います。
 

プラスワン事業

 次に『プラスワン事業』について申し上げます。
 本村の財政状況が厳しい折、私は昨年度から“知恵 と工夫を”との方針の下に、最少の経費で最大の効果を挙げるべき事業の提案を職員に求めてきました。  本年度は提案されたものの中から、次の6事業について施策化することといたしました。  @子育て支援事業A地域ネットワーク事業B文化財エリア整備事業C三宅島農場運営D道路維持・整備事 業E戸籍電算化事業。

 @子育て支援事業は、乳幼児の心身の健全な発達を促すととともに、保護者の子育て、地域での交 流を支援するための「場」の提供事業です。
 A地域ネットワーク事業については、「住民助け合いマップ」をベースに、独居老人等の見守りが 必要な村民を自治会ボランティアによって地域で把握し、関係機関に必要な情報伝達をすることを目的とす る事業です。
 B文化財エリア整備事業ですが、島内に点在する文化財を5地区にエリア化して整備することにより最も 立ち遅れている文化財の保護・活用を促進するとともに、観光施策の一翼を担うことを目的としています。
 C三宅島農場経営は、昨年度からの継続事業です。「産・学・公」が連携して、都立三宅高校の未利用 地の一部を活用し、高齢者の生きがい就労の場としても活用するなど、今までに例のない形態の農場として 事業展開していくことを目的としています。
 D道路維持・整備促進事業は、昨年度に引き続き、自治会組織による「自分の地域の美化は自分の手で」 をテーマに、住民が主体となって自ら住んでいる地域の道路維持作業を行うことにより、地域住民の相互理 解と連携を図っていくことを目的としています。
 E戸籍電算化事業は、全島避難時に重要書類である戸籍簿の海上運送という前例のない事態を経験したこ とから、戸籍事務の電算化により災害時における重要書類の保護対策、また記載、証明書発行等に要する時間 を大幅に短縮し、現行の窓口サービスの向上を図ることを目的としています。
 

  以上の主要事業、重点施策、プラスワン事業のほかに新たに、多目的広場調査事業、火山研究道路整備事 業、避難所のエコ対策整備事業、専門学校誘致対策事業および都有地の村移管による都有施設の有効活用事 業などについて、今後の補正予算等で積極的に取り組んでいく考えです。
 これらの事業は、「三宅島災害復旧・復興特別交付金」は終了しますが、平成20年度以降、緊急に実施し ていく必要がある「三宅村復興緊急事業」として、昨年11月に東京都に特別の財政支援措置を要望した事業 メニューです。
 以上の諸施策を盛り込んだ平成20年度三宅村一般会計当初予算総額は30億9千507万円で、前年度対比 は20・6%の減となりました。また、同時に政策経費を盛り込んだ第1号補正予算では1億4千772万1千円 を計上しております。
 今後も財政状況と島内動向を見ながら真に必要な施策については、積極的に取り組み、事業化を進めてま いります。
 しかしながら、島の復興や地域の活性化は行政のみで成し得るものではなく、村民はもちろんのこと島内 各方面、特に各経済団体の組合員や会員がしっかりと意識改革し、強い連携のもとに自分たちの力で生きて いく自立心と向上心を持たなくてはなりません。
 本年度を復興の第1ステージと位置づけ、本島の飛躍の一年となることを願い、私の基本とする『村民 の幸せのため』に、国・東京都との太いパイプを活用して、財源の確保はもちろんのこと、自らが汗をかい て住民参加型で「感謝の言葉が言える島づくり」に向けて、最大限の努力をして行く覚悟であります。
 どうか議員の皆さま、村民の皆さまの絶大なるご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
 結びに、今までご支援・ご協力をいただいた全国の皆さま、国、東京都の皆さま、友好都市の皆さまに衷 心よりお礼と感謝を申し上げます。
 なお、本定例会におきましては、これまで申し上げた内容を含め、条例13件、規約1件、補正予算7件、 新年度(20年度)予算10件、20年度補正予算3件、その他2件、合わせて36件の議案を提案しており、また会 期中に追加の議案を予定しておりますので、よろしくご審議いただきますよう重ねてお願いいたします。


東京都三宅島三宅村長 平 野 祐 康